もるの日記

なんでもないこと

「自分でも作れそう」との闘い

私は複雑なもの、ぱっと見でどうなっているか理解できないものに惹かれる。

自分では作れないからだ。

 

逆に言えば、ハンドメイド品は「自分でも作れそう」と思われてしまったら終わり、ということになる。

なお、実際に作れるかどうかはそこに関係ない。

自分でやってみたら思ったよりも難しかったり、制作する環境や材料、道具をいちから用意したら完成品の何倍もお金や時間が掛かった、というのはよくある話だ。

兎にも角にも、見た人に「自分でも作れるな」と思われてしまった時点で、自分のお客様になってもらうことは極めて難しいと思う。

 

勿論、シンプルの美しさとか、白の美学とか、品質の高さとか、無駄のない作品が一番難しいとか、そういう考えがあるのもわかる。

それでも、何百何千とネットに同カテゴリーの商品が出品されている現代で、まずお客様に立ち止まってもらう、興味を持ってもらう、あわよくば手にとってもらうには、「複雑さ」というのは大きな武器だと思う。

 

では、複雑さとは何か。

光の角度で色の見え方が異なる作品。

揺れた時に動きが出る作品。

平置きした時と着用した時で印象が異なる作品。

モチーフが斬新な作品。

モチーフの組み合わせが目新しい作品。

パーツがじゃらじゃらついている作品。

他にももっとあるだろう。

 

自分がハンドメイド品のアイデアを出している時に何かつまらない、魅力が足りない、と思ったら上記の要素を一度ザッと試行してみる。

その中で、ピタリとハマるものがあったらその方向で舵を切っていく。

 

まずシンプルなアイデアがあり、それに「複雑さ」という自分の色をつけ、肉づけしていくイメージだ。

 

品質にこだわりのある作家なら「白」を突き詰めて唯一無二で勝負していくことも可能だろうが、そこは私が勝負する分野ではない。

私が目指しているのは「めちゃくちゃ安いわけではないが、市販品で似たようなデザインを探したらもっと高いだろうな」という価格帯だ。

100円や300円で流行のアクセサリーが手軽に手に入る現代で、私の見つけた戦場はそこである。